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2013年11月25日
カテゴリー:院長より
見果てぬ夢の地平を透視するものへ-103
このようにして、状況の内部に打ち込まれた個人的表現を、人間一般、あるいは大衆一般の表現へと志向させているものは、まぎれもない人間の真の連帯への意志であり、事象そのものに基いた私達の現象学的やさしさとでもいうべきものである。
何よりも事象そのものに志向し、事象そのものを了解する意志に裏づけられた、現象学的やさしさの存在なしにはすべての人間的表現活動は能動化され得ないだろうと私は思う。私達は幾多の分裂と、挫折とをくり返しながらこの現象学的やさしさを身につけていくことだろう。負けることを恐れてはならないのだ。それは多分、私達の問い続けていく生き方そのものに併行しているものであると私は考えるのだ。
そして、それらの営為のはるかかなたにあるべき、人間の真の連帯と新しい共同体の問題について、私達は現実そのものの認識と予感、そして日常での実践を背景にして、いずれ壮大な俯瞰図を描いていかなければならないものなのである。
(Ⅱ表現論/表現へ! 終)