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墨岡通信

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2019年02月21日

カテゴリー:院長より

見果てぬ夢の地平を透視するものへ-169

私達の考えが、“反精神医学的”といわれようが、“新しい精神医学”といわれようが、そんなことはきわめて現象的なことなのであって、その本質は、豊かな人間性に支えられた、失われた開示性の回復の過程へむけての共同作業なのである。

それでは、病院のなかに十数年以上も入院させられたきりになっている障害者に対しては一体どうしたらよいのだろうか。

私達はこのような“分裂病の欠陥状態”、あるいは“荒廃した分裂病”と名付けられた人間に対する<精神医療>の構造をめぐって模索を続けてきた。

しかし、過去の精神医学と医療とが果してきた巨大な役割のなかで、私達の営為はどれをとってみても卓越した手段とはなり得ないでいた。しかも、私達は単に思弁的でいることは許されない。とにかく、その人間をめぐって今ここで何かをしなければならないのだ。こうした状況から、沈殿した<分裂病>の患者さん達をめぐる、精神医学的、社会的状況の再検討という課題が頭をもたげはじめてきていた。

これら、精神障害者の本当に背後にあるものは何か。果して何が一番の抑圧なのか、という原始的な疑問を軸にして、私達は考えていこうとしていた。

(Ⅳ私的表現考/世界の病むこと つづく…)

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