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2020年02月23日
カテゴリー:院長より
見果てぬ夢の地平を透視するものへ-174
例えば、昭40年の精神衛生法の改正にともなって、措置入院患者の公費負担の比率を大幅に増大させ、日本中至るところで圧倒的な措置入院を作り出してきた精神医療行政と、その行政を相補することによって成りたってきた精神病院(そのうち80%は私立精神病院であるが)いまさら強制入院の解除とひきかえに経済的な理由づけを個々の患者や医師、その他のスタッフに押しつけようとしているのである。
15年以上にわたるN・Hさんの強制措置入院を正当づけてきたあらゆる理由と、理論、法的根拠に対して、私達はその一つ一つの誤りを徹底的に指摘できるはずだと考えている。そして、こうした批判的作業と共に、N・Hさんをめぐる社会の状況の中に、N・Hさんを伴って私達自身が撃って出ることが何よりも必要とされているように考えるのである。せめて、現在の私達がN・Hさんと共に在ることのためにはこんなことぐらいしか出来ないのだと言うしかない。
(Ⅳ私的表現考/世界の病むこと つづく…)