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2023年11月15日

カテゴリー:院長より

見果てぬ夢の地平を透視するものへ-206

「施設にかんする研究の中で、バザリアは、どのようにして≪病者≫が精神病院にみずからを病院化させ、医者や看護者の恣意に従い、権利もなく、また訴える力もなく自動的に病院の住民となってゆくかを明らかにした。彼はまた施設という次元では相互関係が存在しえないという事実はどうにも隠蔽しようがないと言っている。」

精神病院の成立基盤となっている社会経済的問題を含めて、その精神病院の内部システムを実証的、科学的に把握することによってそのシステムを変革するための糸口を見出すことが今後の状況的精神医学の方向の一つであると考えることができる。

そして、そのためにはただ単に精神医療にかかわる人々の方法論だけでなく、広く社会学をはじめとする諸学との連帯が必要となるであろう。連帯のなかで問い続け、問い続けることによってあらゆる非合理性、非人間性を白日の下に晒しださなければならないのである。

(Ⅴ状況のなかの精神医学/状況のなかの精神医学 つづく…)

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