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墨岡通信

成城墨岡クリニックによるブログ形式の情報ページです。

2008年04月15日

カテゴリー:院長より

見果てぬ夢の地平を透視するものへ -2-

『望郷と海』覚え書

おびただしい失語状態とも言うべきものが確かに私たちをとりまいている。逼迫した言語をもって<この苦渋!>と、言葉するとき、私達の感性の総てはある一点を指し続けたまま凍結してしまう。厳として存在する巨大な流通機構と権力と権力構造。その背後に巧妙に位置する影の機構。<対峙せよ!>と、沈黙の内に決意するとき、私達は既にいささかの展望も、いかなる効果も期待していない。私達の根拠を問うとすれば、それは唯一拙劣な国訛でしかない。おそらくは人間にとってぬぐい去り難い魂の国訛。


『望郷と海』は、かつて「私にとって人間と自由とは、ただシベリヤにしか存在しない(もっと正確には、シベリヤの強制収容所にしか存在しない。)日のあけくれがじかに不条理である場所で、人間は初めて自由に未来を想いえがくことができるであろう。」と記した石原吉郎の、東シベリヤ、カラカンダ第二刑務所での認識と生命の存在を反芻する軌跡である。
石原吉郎の表現行為のほとんど極小の片々にしか触れ得ないと思いながら、例えば石原吉郎が次のように述べるとき、私は激しい感動に襲われる。
 「ジェノサイド(大量殺戮)という言葉は、私にはついに理解できない言葉である。ただ、この言葉のおそろしさだけは実感できる。ジェノサイドのおそろしさは、一時に大量の人間が殺戮されることにあるのではない。そのなかに、ひとりひとりの死がないということが、私にはおそろしいのだ。人間が被害においてついに自立できず、ただ集団であるにすぎないときは、その死においても自立することなく、集団のままであるだろう。死においてただ数であるとき、それは絶望そのものである。人は死において、ひとりひとりその名を呼ばれなければならないものだ。」(「確認されない死のなかで」)
石原吉郎の詩と多くの散文はただ<表現>としか言いようのないものである。それは本質的に人間の<表現>であってそれ以外のなにものでもあり得ない。(Ⅰ詩人論/『望郷と海』覚え書 つづく・・・)

2008年04月08日

カテゴリー:院長より

見果てぬ夢の地平を透視するものへ -1-

詩の世界社より1976年に発行された墨岡先生の著書「見果てぬ夢の地平を透視するものへ」を本日より少しずつ掲載します。
20代の頃の墨岡先生が何年間にわたり書き綴ってきた小文をお楽しみください。



『見果てぬ夢の地平を透視するものへ 』

Ⅰ詩人論

私の表現にとって、避けて通ることのできなかった幾人かの詩人について述べた小文をほぼ年代順にならべた。この間に私の方法論も変化したし、私をとりまく状況も変化した。その意味では、まず何よりも私自身の<状況論>を註としてあげなければならないかも知れないが、そのための客観化もいまは不可能に近い。いずれにしても、まだ私にとっての現象的苦渋は過ぎ去っていない。
「山本太郎論」の各章は、かつて「山本太郎論のためのノート」として、独立して別々に発表したものである。 (つづく・・・)

2008年02月08日

カテゴリー:カウンセラーより

カウンセリングも保険診療です

こんにちは、カウンセラーの井上です。
あなたは今、「こころ」や「からだ」のどこかがトラブり、ここにアクセスなさったのだと思います。
誰にもいえない悩み、どう表現して良いのか分からない問題、言葉で表しにくいことをどう言ったら良いのか、考えあぐねていたかも知れませんね。それで、クリニックに来るのをこれまでためらったきたのかも知れません。自分の心と身体の状態、その全てを一度に伝えようとすると、本当に大変です。
でも、上手にまとめて話さなくても大丈夫です。カウンセラーが、お話ししやすいように、ゆっくりとお聞きしていきます。あなたは「助けてください」とおっしゃるだけで良いのです。これまで我慢されていたとしたら、辛かったでしょうね。
神経科・精神科というと診療所の門が高く高く感じられて、ずっと診療を先延ばしにしてきた方もいらっしゃいます。でも一度来てみれば、その後は、当たり前のようにここを利用されている方がたくさんいらっしゃいます。
ドクターは本当に優しく、カウンセラーもあなたをとても大事に思って、あなたの気持ちを支えます。感じの良いお部屋で、思った通りにお話しして下されば、もつれた糸がほぐれるようにホッとできるでしょう。たいていの方が、「ああ気持ちが楽になった」といって下さいます。ホッとした顔を見ることは、こちらも嬉しいことです。来ていただいた甲斐があったと、こちらもホッとして嬉しくなるのです。どうか勇気を出して、ご来院して下さい。それで良いのだと思います。
保険診療だけでカウンセリングを行っているところは、あまりありません。健康保険証を利用していらして下さい。あなたの心が軽くなり、もともと明るいあなたを取り戻していただけたら、私たちも心からうれしいのです。

2004年11月12日

カテゴリー:院長より

「いやな気分」がスーッと晴れる本

成美堂出版より著書「『いやな気分』がスーッと晴れる本」が発売されました。
普段の生活の中ですぐに実践できる自己管理ノウハウが、具体的にまとめられた本です。

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